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三菱重工、新社長に泉澤常務が昇格 宮永社長は会長に、MRJ当面主導

 三菱重工業(7011)は2月6日、泉澤清次(いずみさわ・せいじ)取締役常務執行役員(61)が4月1日付で新社長に昇格する人事を発表した。宮永俊一社長(70)は代表権のない会長に就任する。

三菱重工の新社長に就任する泉澤常務(左)と新会長に就任する宮永社長=19年2月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
泉澤新社長「改革定着させ全力尽くす」
MRJは宮永氏主導「三菱重工の都合だけではいけない」

泉澤新社長「改革定着させ全力尽くす」

 泉澤氏は千葉県出身で、東京大学教養学部を1981年3月に卒業後、同年4月に三菱重工へ入社した。2008年4月に技術本部技術企画部長、2011年4月に技術統括本部技術企画部長を務めた後、同社を一度退社。2013年4月から三菱自動車(7211)の常務執行役員、同年6月から取締役を務め、品質関連業務の改革を主導した。三菱重工へは、2016年4月に執行役員技術戦略推進室長として戻り、2017年6月に取締役常勤監査役等委員、2018年6月に現職の取締役常務執行役員に就いた。

三菱重工の新社長に就任する泉澤常務(左)と新会長に就任する宮永社長=19年2月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 信条は「スピード、一人称、着眼大局・着手小局」。泉澤氏は「大変責任が重いことが、やりがいあるチャレンジできる仕事。これまでの改革を定着させ、全力を尽くす」と決意を述べた。

 昨年から新社長の人選がスタートしたと語る宮永社長は、「長年の構造改革がほぼ完了し、これからは成長の段階。コングロマリット(多角経営企業)のデメリットと言われているが、われわれは新しいコングロマリットであり、単なる集合体から高付加価値の資本政策を採っている。参入障壁が高く、周辺が広いものを伸ばしていくには若い人が必要」と、社長交代の理由を説明した。

 泉澤氏について、宮永社長は「技術開発のさまざまな変化を中堅幹部のころからやってきたので、今後の経営に役立つと思う。私が副社長から社長になるころ会社を辞めてもらい、三菱自動車へ移ってもらった。品質問題をずっと対応しており、落ち着いたころに返してもらえないかと私の方から(三菱自動車へ)言いに行き、戻ってもらった」と経緯を語った。「チームワークを良くし、バイタリティーある組織にして欲しい」(宮永社長)とエールを送った。

MRJは宮永氏主導「三菱重工の都合だけではいけない」

MRJのプロジェクトを当面主導すると説明する三菱重工の宮永社長=19年2月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 自身の社長時代を振り返った宮永社長は、「残念なのが(売上高が)5兆円に行かなかったこと。3兆円から4兆円しか行けなかった。5兆円には行かないといけない」と、泉澤氏に今後を託した。

 また、火力事業と子会社の三菱航空機が開発を進めているリージョナルジェット機「MRJ」については、しばらくの間は宮永社長が会長就任後もリードしていく。

 宮永社長は、MRJについて「ステークホルダー(利害関係者)が多く、三菱重工の都合だけではいけない。お客様などいろいろな関係者への移行を丁寧に進めていく。なるべく早く新体制で全力疾走できるようにしていきたい」と述べ、型式証明(TC)取得や2020年中ごろとする初号機の引き渡しといった節目までは、MRJのプロジェクトを宮永社長がけん引していく姿勢を示した。

 泉澤氏は「航空宇宙分野は大きな柱のひとつ」との認識を語った。

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